点検実績で鍛えられた信頼のシステム

1,700公園、5,400遊具の点検を、年度末の4~5ヶ月間で完了しなければならないとしたら、皆さまならどのような業務計画を立て、どのような人員体制を整えるでしょうか?
そしてさらに、点検委託の予算が通常の半分以下しかなかったら、どうするでしょうか?

実は、「iPadで遊具点検」のシステムは、このような厳しい条件下で、必要に迫られて生まれたシステムなのです。

本システムを設計するうえで、まず始めに基本仕様として定めた遊具点検のコントロールポイントは、以下のとおりです。

  • JPFA-2014 遊具安全規準に準拠
  • 点検精度と点検品質の確保のために、規準や判定目安が分かりやすく、容易で使いやすい点検入力画面
  • 照査技術者が正確な照査を行えるよう、また公園管理者が点検結果をバックチェック出来るよう、劣化やハザードの重要項目は全て写真で記録

そして、点検調査員の作業負担や無駄を極限まで減らすことで、一人一人の調査員が最大のパフォーマンスを発揮できるように、以下のシステム基本仕様を定めました。

  • 地図を読むのが苦手な人でも、最短時間で公園間を移動できるナビシステムの構築
  • 点検器具以外の調査ツールをiPad1台に集約し、ペーパーレス、カメラレス化
  • 公園到着後、4桁の公園番号を入力して検索ボタンを押すだけで、点検が必要な遊具一覧が表示され、即時点検が開始出来る画面遷移設計
  • キーボードのないタブレットで点検を行ううえで、作業スピードのボトルネックとなる「文字入力」を極力排除
  • 調査を行うタブレット端末は高速なLTEモバイルデータ通信を利用し、調査結果や写真入力が行われたら、その都度瞬時に、遅延なくデータベースサーバに点検データが送信され保存される通信環境

さらに、遊具点検業務で現地調査の次に作業時間がかかる、点検票の入力作業(内業で点検票を仕上げる作業)を省力化するために、以下の基本仕様を定めました。

  • 遊具種類ごとに、印刷用レイアウトのデータベース画面を用意し、現場で点検が実施されたと同時に、印刷フォーマットの点検票に全ての必要事項と写真が格納・配置され、点検票の清書が一切不要

これらの基本仕様に準じてシステム開発を行い、5,400遊具の点検を行っていく中で、さらにシステムの細部までPDCAサイクルを繰り返し、ブラッシュアップを続けました。
その結果、調査員3名、照査技術者1名という体制のもと、遊具安全点検調査を3 ヶ月で完了することが出来ました。この結果を数値で見てみると、以下のようになります。

  • 調査員1名の1日あたり調査遊具数 36施設
  • 月間の平均調査日数 17日
  • 1日の調査時間数(実働) 8時間

いかがでしょうか、遊具調査の経験をお持ちの方から見れば、かなり驚かれるようなパフォーマンスとなっているのではないでしょうか。しかし当システムについて私たちが一番にお伝えしたい点は、実はスピードと効率化ではありません。遊具の安全点検業務において最も重要なのは、点検品質と精度の確保です。この品質確保を実現するため、本システムでは「重要判定の根拠は、全て写真で証拠を残す」ルールとし、システム設計を行っています。

万が一、手抜きやいい加減な判定が行われた場合、それは本システムでは記録となって残り、バックチェックを行う事が可能です。この点こそ、信頼して利用いただくための「iPadで遊具点検」システムの特徴です。

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